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2022.03.21 春彼岸
ウクライナ問題、収束を願い


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ウクライナ問題が日々ニュースで報じられています。当初、私もロシアは本格的な侵略戦争はしないだろうと思っていましたが予想に反して進軍しました。その結果、ウクライナ・ロシア双方に死傷者が多数出ており、多くの難民も出ています。こういった悲しい事態は何とか収束して欲しいと願うばかりです。この侵略戦争(自己防衛などは除外)というのは仏教においてどういうものでしょうか。前提として仏教ではこの世の中に対して次のような考え方を持っています。

〇諸法無我・・・この世は因果(原因と結果)の積み重ねによってできている
〇一切皆苦・・・この世は生老病死などを含めて苦しみ悩みの多い世界
〇悪因を結べば悪果を招くことになる為、十悪(殺人・誹謗中傷・貪り・憎しみ・邪見、など)といった悪因を結ぶ悪行を戒める教えがある。
〇世界は大別すると十界に分かれており、地獄界(苦しみに満ちている)・餓鬼界(飢え貪りあう)・畜生界(理性なく、弱肉強食)・修羅界(嫉妬、卑屈の心を抱えた競争)・人界・天界・声聞界・縁覚界・菩薩界・仏界がある。

 このような前提を持って考えれば侵略戦争とは人を殺し、憎しみが生まれ、大量の悪因を結び、長きに渡り大きな悪果を招く、大きな「悪行」の一つだと思います。例えばこの戦争が収束したとして、今後、長期に渡りウクライナはロシアを敵視するでしょう。家族、祖国を蹂躙された憎しみからゲリラ戦や反対運動が行われ、更に多くの悪因・悪果が結ばれる悪循環を繰り返していく、まさに「地獄の場所」となります。これは例えでなく、本当に地獄が顕れるという意味です。仏教では先ほどあげた十界は互いに重なっているのだといわれます。例えばこの人の世は基本的には「人界」です。

しかし、その「人界」の中にも、例えば各お寺の本堂や墓地、各自宅の仏壇などは皆が供養や感謝の心を持って、何度もお参りすることで仏となった故人らのいる「仏界に近い場所」、安らぐ場所になっていくのだと言われています。逆に今回の戦争のような苦しみが更なる苦しみを生むような「地獄のような場所」もあります。仏教の最終的な目標は皆の成仏、つまりはこの「人界」に生きる我らが少しでも皆が支え合い助け合う安心の世界、「仏界」へと近づくことです。これは本当に果てしない目標でしょう。ただ、世界は少しずつですが第二次世界大戦以降、その方向に進んでいました。例えば国連は本来、「国際の平和と安全を維持すること。諸国間の友好関係を発展させること。」を目標としています。今は実質的に機能しなくなっているのが残念ですが、改善をした上でいずれ必要になる時が来ると思っています。

かつては日本も戦争をしました。日本が一方的に悪かったか、当時を生きていない私にはわかりません。ただその後、戦争により日本は沢山の悪因を結んでしまいました。それは現代でもなお残っていますが、日本は争った国々と和解し何とか結んでしまった悪因を無くそうと努力してきたと思います。国としては各国で賠償を進めてきましたし、好意により賠償を求めないという国もありましたが、将来的に良い関係を築く為に無償供与という形で何かしらの助成を行いました。民間でもビジネスやスポーツ、文化など様々な方面で融和の努力が続けられました。こういった努力の結果、ほとんどの国とは友好的な関係を築き、良因を結び直してきました。日本人が海外に行くとき、世界の中でもパスポートの信頼度がトップクラスだと言われるのはその一つの成果でしょう。ただ、終戦からおよそ77年が経ちますが、まだこの問題に対して韓国などと揉めているように完全に解決したわけではありません。戦争の悪因を絶つためには様々な努力が長い時間必要になるのだと思います。

 今後ウクライナ問題でもそういった大小様々な努力が必要な中で、現地に対するニュースを見ているとアナウンサーの方が「我々は何もできないですが・・・」という枕詞を言うことがあります。しかし、それは違うと思います。最初に書いたようにこの世は因果によって成り立つと仏教では考えています。そして因果とはいくつもいくつも連鎖して複雑に、広大に絡み合っているものだと思います。そして今回のウクライナ問題も数多くの因果を経由して我々と繋がっています。これから起こってくると言われている物価上昇やニュースを見た人々が次々と反戦の声などを上げているのもその証拠です。ならばこそ、我々の行動はウクライナ問題へ小さいものでしょうが影響します。例えば今年、東日本大震災より11年が経ちました。まだ、復興途上とはいえニュースなどで流れているように、震災直後から比べるとだいぶ復興してきました。その復興を支えたのは地域の方々は勿論ですが政府の復興財源も一因です。そして復興財源の4割は我々の所得税や住民税、ガソリン税を増額するという形で確保されています。我々は東日本大震災の復興に何ができたか、と疑問に思う方もいるかもしれませんが日々健全に社会生活を送ることで立派に復興の一助になっているのです。規模や状況は違いますがウクライナ問題も我々と地続きの話です。

仏教に説かれるような善行を積むこと、例えば我々が正しい見識(正見)を持ち、日常を健全に過ごし(精進)、良因を重ねていくことはとても大切なことなのです。例えば収束した後のウクライナの復興支援、分断が進む世界各国の融和政策、どれも我々が選挙や経済活動などで日本が健全な国家であり続けないと支えることはできないことでしょう。すぐには難しいかもしれませんが、我々の日常がいずれはウクライナ問題などを解決する一助になると思っています。





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